こんにちは。
地方のメーカーで海外営業に就いて20年超の神高(かんだか)です。
同じ会社の若い同僚からたずねられました。
カンダカさんは TOEIC L&R が900点超えているそうですけど、途中で心がおれませんか?
心得(こころえ)、心構えみたいなものがあれば教えてもらえませんか。
普通に途中でイヤになるよ(笑)。リーディングの後半で残り時間を見て「冗談じゃないよ、まったく」なんて心の中で叫んでる。
(以下、神高(かんだか))
ぼくがTOEIC(トエック、トーイック)を初めて受けたのは高校生だから、もう30年くらい前になる。
あの頃と比べて、相当、TOEIC L&R は難しくなっている。
解く時間もぜんぜん足りない。
TOEIC はぼくみたいな年寄りにはつらい、意地の悪い試験になっちゃったな(笑)。
特にリーディングの後半は、「制限時間のある間違い探し」みたいな状態になる。
TOEIC L&R はしっかり社会的な評価が定まっちゃったから、若い人は「ものすごく権威のある英語の資格試験」みたいなイメージかも知れない。
でも、もともとは単なる「新しい英語のテスト」だったからね。
以下のような英検や海外の資格試験にない特徴が、広く受け入れられたんだろう。
- 「聴く」「読む」だけで「書く」「話す」は測定しない
- 統計を用いた採点方式で、難易度による得点のぶれが少ない
- 10点~990点でスコアが出るため、ゲーム性がある
- マークシートだけなので、スペリングを記憶しなくていい
ここに「 TOEIC L&R に挑戦する時の心得」に関するヒントがあると思うんだ。
TOEIC L&R(トエック、トーイック)で失敗しない3つの心得|背後にある「ゲーミフィケーション( gamification )」
ドラクエのような RPG(ロールプレイングゲーム)の仕組みを学習や組織運営に応用する考え方、マーケティング手法を「ゲーミフィケーション」と呼ばれている。
そして、TOEIC には見事にその要素が含まれているんだ。
- 目的(990点満点、就職活動、社内基準などのハードル)
- クエスト(点数や単語数などの具体的で段階的な目標)
- 報酬(就職、昇給、ツイッターで自慢などの承認要求)
- 可視化(偏差値をスコア化した再現性の高いレーティング)
しかも、TOEIC にはスコアを付けにくいアナログのアウトプット、すなわち「手書きのライティング」「口頭のスピーキング」がないから試験対策にも取り組みやすい。
英検や IELTS(アイエルツ)など「話す」「書く」を含む4技能のテストは受験者の負担が大きいし、採点する側も大変だからコスト(費用)がかかる。
特に「話す」は、精神的にきついよ。
目の前の人にどう思われるか、なんて余計な心理が働くからね。
うまい単語の言い換え(コロケーション)を狙って、結局、しゃべれない、なんてことも起こる。
ぼくも大阪で受けた英検1級の二次(面接)なんか、何を話したか覚えてないくらいだ(笑)。
その点、TOEIC はすっきり割り切っているし、受験費用もそれほど高くない。
(それでもなお、内部留保が多すぎる、儲けすぎ、と国から指導を受けて値下げしたこともあったけどね……)
だから、TOEIC への心得(こころえ)の大前提になるのは、この「TOEIC は単なるテスト」っていう割り切りなんだよな。
TOEIC L&R をゲーム感覚で楽しみ、ハマれるなら勉強を続けられる
TOEIC をゲームとして楽しんでいる TOEICer(トエッカー)と呼ばれる人たちは、受験料を惜しむことなく、ゲームとして TOEIC の公開テストに取り組んでいる。
また、大学生の中にも就活をサポートするために大学が実施する TOEIC IP でハイスコアを取り、Twitter で点数を紹介している人もいるよね。
「ゲーミフィケーション」でいうところの「ソーシャルリワード(社会的報酬)」をうまく使っている事例だ。
まあ、そこまではできない、テストになんてハマれないにしても、だ。
社内基準を超えるスコアを取って堂々と海外出張に行きたい、なんて思っているなら、さっさと「割り切って」目標の点数を取ってしまえばいい。
試験本番でも、試験準備をする上でも、使えるマインドセット(思考様式)だ。
もちろん、ぼくは TOEIC L&R を軽く甘く見ているわけじゃないよ。
伝えたいのは、「英語力を測る物差しとして TOEIC は評価が固まっているのは確かだから、それを利用させてもらえばいい」ということ。
会社員が英語を学ぶ本当の目的は、仕事で海外出張したり、ウェビナー(オンラインのセミナー)で英語のプレゼンをしたり、そんなところにあるわけだからね。
TOEIC のスコアが上がれば、だんぜん仕事上のチャンスも回ってきやすい。
田中さんは設計部門だけど、品質管理やサービス、あるいは財務や製造部門でも、事情は同じだ。
仕事の幅が広がれば、会社の中で貢献できる場面は増えるし、活躍できる期間も長くなるはずだ。
さて、せっかくの機会だから試験直前から試験本番について、ぼくの考えている「TOEIC L&R で失敗しない、より実用的な3つの心得」を順番に伝えておこう。
TOEICの途中で眠気が来ないように体を休めましょう|心得その1
TOEIC 本番の前日、当日はできるだけ眠気の来ないような生活を心がけたい。
TOEIC はぶっ通しで2時間もかかる試験だけに、ふだんと違う集中力を求められるからね。
公開テストを受けるなら日曜日だろうから、土曜日の夜はお酒を飲んだりせずに早めに寝る。
社内で受ける TOEIC IP(団体テスト) なら、勤務時間中、あるいは仕事が終わった後だろうから、テストが始まるまでに少し体を休めておく、といった具合だ。
社会人になって、2時間ものペーパーテストを受ける機会は、なかなかないよね?
それだけ、非日常だから、当日に向けて準備する心構えが欲しいところだ。
マークシート用の鉛筆かシャープペンシルを用意しよう|心得その2
TOEIC を受けるなら、マークシート用の鉛筆かシャープペンシルを用意したい。
というのも、早く黒く(濃く)塗る時間を短縮できるからなんだ。
鉛筆を使うか、シャーペンにするかは個人の好みだからどっちでも構わない。
ちなみに、ぼくは UNI の鉛筆を長い間、愛用している。
マークシート用の3本を一組にして、2個のプラスチック消しゴムとセットでポーチに入れている。
鉛筆は運ぶ途中で芯が折れやすいから、キャップ付きのものを選ぶといいよ。
1,000円くらいの投資だけど、長く使えるツールだし、心構えをつくるにも効果的だ。
リスニングが終わってからが勝負、という覚悟を持とう|心得その3
リスニングセクションの100問・45分(46分のこともある)が終わってからが本当の勝負だ、というこころがまえも大切だね。
諦めない心、と言い換えてもいい。
そもそも、 TOEIC はリスニングとリーディングだけの試験にしてはとても長い。
2時間も英語を聴いて読むテストって、英検(英語検定)なら2級や準1級に相当する。
- 英検3級:85分(1時間25分)
- 英検準2級:105分間(1時間45分)
- 英検2級:115分間(1時間55分)
- 英検準1級:125分間(2時間5分)
- 英検1級:140分間(2時間20分)
英検3級レベルの英語をしっかり運用できるなら何とかなる職種や業界もある中で、これだけの試験時間、集中を全員に求める、というのは正直、ハードルが高い。
だから、後半75分のリーディングをあきらめずに解ききる、という心構えは必須だ。
TOEIC(トエック、トーイック)の3つの心得|まとめ
さて、最後にここまでの内容をまとめておこう。
TOEIC に臨む心得、よくわかりました。
文房具、筆記具にも工夫が必要なんですね。
特別な事情がない限り、TOEIC の準備に大金をかける必要はないけど、鉛筆や消しゴムは投資する価値があるんじゃないかな。
TOEIC をゲーム、スポーツと考えれば、道具にこだわることで愛着もわく。
それから「TOEIC(トエック、トーイック)なんて、単なる英語のテストだ」という割り切り(マインドセット)を保つために、英検(英語検定、EIKEN)や IELTS など他の試験に挑戦してみる、という経験も面白いだろうね。
TOEIC 以外のテストを経験することで、TOEIC へのこだわり(依存)が減る。
たとえば、英検は CSE( Common Scale for English )という国際的な基準を参考にしたスコア制を2016年に導入しているからスコアを伸ばす、というゲーム性ができたし、受験料も2級くらいまでは TOEIC の 6,490円(10%税込) とあまり変わらない。
英検を経験したあとで TOEIC L&R に戻ってくると、試験問題を見る目も変わるはずだ。
とはいえ、人事評価、人材教育をする部署の担当者も TOEIC ほどには英検各級のレベル感に詳しくないだろうから、あらためて TOEIC でスコアを計測することになるだろう。
ぼくは 44歳で英検1級に受かったけど、そっちより TOEIC 900点台の方が人事部の人には印象に残りやすいみたいだからね。
それもこれも、TOEIC の知名度と社会的な評価が高くて安定しているからこそ。
つまり、TOEIC のスコアアップは「お得」だということでもある。