こんにちは。
とあるメーカーで海外営業に携わって20年超の神高(かんだか)です。
TOEIC のベストは935点ですけど、最近は900点を超えるかどうかのレベル感です。
入社6年目の営業部の若き同僚からTOEIC(トーイック、トエック)のリスニングについて質問がありました。
カンダカさん、TOEIC のリスニングって何かコツはあるんですか?
うーん、あるとすればテストの流れに乗る事かな。
勝手に先に行けないし、後から追いつくこともできない。
後から追いつけないって、どういうことですか?
(以降、神高(かんだか))
TOEIC(トエック、トーイック)は全部で200問ある。
そのうち、最初の100問(約45分)がリスニングなんだけど、早送りできない代わりに、後から追いつくことも難しい。
つまり、音声の順番、ペースに従って解くしかない。
しかも、今の TOEIC ではリスニングセクションの間にリーディング問題を解くことはカンニングとみなされるから、してはダメだよ。
リスニングパートにコツがあるとすれば、以下の二つだね。
- 絶対に選択肢を先を読む、という強い意志を持つ
- わからなかった問題を引きずらない
25年以上、TOEIC を受けてきたし、メジャーアップデートの2回も経験してきたから、現在の TOEIC Listening & Reading の厳しさはわかっているつもりだ。
昔は「引っかけ問題」といっても、もう少し単純(シンプル)だったんだけどね。
試験を運用する IIBC の公式サイトに例題(サンプル)があるから、一緒にみておこう。
TOEIC(トーイック)リスニングのコツ|46分の間、集中力が切れるかどうかが勝負です
IIBC のサイトで TOEIC 全体の流れを説明してくれている。
リスニング(聴きとり)セクションは挨拶ともいえる「導入部」にある。
基本的な構成は、以下の通りだ。
- Part1 写真描写問題 6問
1枚の写真について4つの短い説明文。説明文は印刷されていない。4つのうち、写真を最も的確に描写しているものをマーク。 - Part2 応答問題 25問
1つの質問とそれに対する3つの答えがそれぞれ1度だけ放送。問題も選択肢も印刷されていない。 - Part3 会話問題 39問
2人または3人の人物による会話が1度だけ放送。4つの答えの中から最も適当なものをマーク。 各会話は設問が3問ずつ。 - Part4 説明文問題 30問
アナウンスやナレーションのようなミニトークが1度だけ放送。トークの中で聞いたことと、問題用紙に印刷された図などで見た情報を関連づけて解答。各トークは質問が3問。
試験時間はだいたい45分、最近は46分となることが多い。
46分の間、集中力を保つのは大変ですよ|900点超でも同じです
TOEIC の問題構成は実によくできていて、集中力を途中で切らせるような仕組みがいくつかある。
これは、900点を超えるようになった今も変わらない実感なんだ。
前半のリスニングなら、45分~46分の間、何とか聴き漏らさないようにと細心の注意を払うことになる。
でも、中学、高校の経験で、わかっているよね?
45分もの時間、問題を解き続ける集中力を保つには、ある程度の練習(慣れ)と決意が必要だ。
特に「リスニング問題を解く間、ずっと印刷された選択肢の先読みをする」ことをあきらめちゃ、いけない。
母語の日本語と違って、英語をそのまま脳内に記憶できる時間(長さ)はムチャクチャに短い。
もちろん、英検1級を44歳で取ったぼくだって同じだ。
何の予備知識もない英文を文章として記憶・再現することはほぼ無理、単語の並びなら何とか、くらい。
だから、先読みなしで英文を流されると、ほとんど頭に残らずに流れていってしまう。
リスニングセクションは「先読み」まで含めて、テストされている、と覚悟を決めた方がいい。
わからなかった問題を引きずらないことは、とても大切だ!
リスニングセクションで「わからなかった問題を引きずらない」ことも大切だ。
理由はもちろん、先読みができなくなるから。
Part 3 や Part 4 のは「問題と選択肢の先読み」を前提に作られているだよね。
逆に言えば、「選択肢を読まないままに本文を聴き、記憶から正しく答えられる」ようにはできていない。
運動会の玉入れでカゴを見ずに投げる子供は、ほとんど得点できないでしょう?
少しはマグレで入るかも知れないけど、勝機は「カゴを見てから投げる子供」にある。
リスニングで選択肢の先読みをせずに解こうとする人は「時間がないから、カゴを見ずに投げる」キッズの感覚に近い。
楽だけど、成果(得点)も出ない。
いくら時間がなくとも、苦しくとも「先に問題と選択肢を読む」サイクルを試験中はがんばって維持するんだ。
次の TOEIC、TOEIC IP は選択肢だけでもいいから「読んでから聴く」を試してみよう。
リスニングセクションは聴く力だけでなく、「先読み能力を試されている」セクションでもある。
TOEIC( IIBC )公式サイトのサンプル問題を一緒に確認しよう
IIBC 公式サイトのサンプル問題 No. 32~34 を一緒に見てみよう。
これは Part 3(二人、三人の会話について選択肢から正解を選ぶ問題)だ。
問題文が「会話を聴いて、選択肢に答えてください」と案内していても、絶対に先に選択肢を読まなくちゃいけない。
今回の問題であれば「なぜ女性は電話をしたのか?」が最低限、可能なら4つの選択肢も全て読む。
この時、お上品に正確に訳す必要は無いんだよ。
「女性・なぜ電話?」くらいでいい。
英語だけで頭の中を満たしたいなら、「 Why Woman Call 」で OK。
同じように、残りの選択肢も事前に押さえておく。
質問33:「男性は女性に何をきいた?」
質問34:「男性は女性に何を提案した?」
最低、放送が始まる「までに」ここまでの理解を終えてから、聴き始めたい。
「玉入れのカゴの位置」を知らずに、玉を投げ始めるのは確実に損だからね。
もちろん、4つの選択肢まで読めるなら、さらに有利だ。
選択肢を読むことで、これから起こりそうな会話を予想できるようにもなる。
まあ、最近はその逆を突くような突飛な会話も時々、あるんだけど。
意地が悪いよね、TOEIC の問題構成って。
TOEIC(トーイック)リスニングのコツ|46分の間、集中力が切れるかどうかが勝負です|まとめ
ここまでの内容をまとめておこう。
リスニングって、そんな仕組みが隠されていたんですね。
会社からの指示で TOEIC を受ける人は、そんな変なこと、考えていないよね(笑)。
でも、問題をつくる側の立場を想像すると、なんとなく問題構成の制限にも目が向く。
それから、就職活動を支援するために大学や専門学校が実施する TOEIC IP を繰り返し受ける学生も、うすうす気づいているかも。
TOEIC(トエック、トーイック)のリスニングはトレッドミル、リーディングは屋外のジョギングみたいだなぁ、と感じるんだよ。
トレッドミル(ルームランナー)は、ペースを合わせていけばゴールできる。
逆に屋外のジョギングは、自分のペースで構わないけれど、時間切れも起きやすい。
そう、リスニングは用意された音声に導かれて45分、頑張れば完走できるんだ。
だから、TOEIC 対策を自宅でするなら、リスニングの方が取り組みやすい。
45分の学習時間を用意できるなら、本番を再現できるからね。
しかも、学生時代はリスニングの練習量が少ないから、自習を始めるだけで一気に経験値が増える。
実際、「リスニングのスコアの方がリーディングの伸びよりも大きいんです」という学習者は多い。
当然だよね。
「練習のしやすさ」と「伸びしろ」を考えたら。リスニングの方が結果が出やすい。
だから、リスニングパート、特にパート2から対策することを、ぼくは勧めることが多いんだ。
リスニング対策が手つかずであれば、逆にスコアを伸ばすチャンスだと思うよ。