こんにちは。
とあるメーカーで貿易実務や海外営業に関わって20年超、社内で実施された TOEIC IP のベストスコアが935点の神高(かんだか)です。
設計部の後輩、入社6年目の田中さんから、ちょっと怪しい(あやしい)質問をもらいました。

神高さんは TOEIC に詳しいと聞いたので……。社内で受けた TOEIC IP の点数って履歴書にも書けるんですか?いや、友達が……。

友達の話ね。うん、わかった。誰にも、言わない(笑)
(以下、神高)
TOEIC IP テスト( Institutional Program、団体テスト)の結果(スコア)を履歴書に書けるかどうかの答えは、すでに出ているよ。
TOEIC IP TEST を管理、運営する IIBC(一般社団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)の公式見解は「使えます。ただし、心配なら提出先に確認してください。公開テストのような写真付き認定証(証明書)は出せません」だ。
IIBC の「よくある質問」でも繊細な表現で触れられている。
「提出先独自の指標を設けている場合があるため……」という表現でね。

一方で、TOEIC IP テストで取ったスコア(点数)の有効性についても言及していて、公開テストと同じだ、とも明言している。
だから、TOEIC IP のスコアを履歴書(職務経歴書)に書くこと自体は問題ない。
特に転職の場合、よほど英語を専門的に扱う職種でない限り「英語の運営能力」なんて判断材料の一つに過ぎない。
気負わず、取得資格の欄に「○○年○○月の TOEIC IP ○○点(L: ○○、R: ○○)」と書いておけばいい。
後日、証明する書類を提出してください、との要請があれば、顔写真のない TOEIC IP のスコアレポートを提出するまでだ。
とは言ったものの……、後ろめたく思う気持ちも芽生えるのもわかる。
TOEIC IP とは、つまり「みずから公開テスト会場まで出向いて受けた試験」ではないからね。
ぼくだって、ホンネでは「できるのなら、公開テストの結果を書くべきだ」と思っているよ。
TOEIC IP テストのスコアを履歴書に書かない方が良い理由は3つある。
TOEIC IP のスコアを転職用の履歴書に書いても良いのか?|点数は有効だけど、やめた方が良い3つの理由


TOEIC IP テストのスコア(点数)を転職用の履歴書に書くのをあきらめた方が良い3つの理由を説明しよう。
いろいろ話が進んだ後で「念のため、写真付きの TOEIC の公式スコア認定書を送ってください」と言われたら、まいっちゃうからね。
TOEIC IP はそもそも会社の費用負担で受けたもの|理由その①
TOEIC IP はそもそも会社の費用負担で受けたものだから、転職のための履歴書に書き込むのは後ろめたい。
そりゃ、そうだ。
どう考えたって、会社は従業員の将来に期待して、4,230円(税込)の受験料を払ってくれたんだから。
転職活動は、今の職場に黙って進めるものだろう(笑)。
それなら、仮に自己ベストが TOEIC IP テストだったとしても、自費で公開テストを受けたいよね。
職場や職種を変わりたいなら、それくらいの意気込みは必要だろう。
まあ、これは「気持ちの問題」だけど、転職に使うなら公開テストを受けた方がいい別の理由もある。
TOEIC IP テストのスコアレポートには顔写真がない|理由その②
TOEIC IP テストのスコアレポートには顔写真がない。
そうなのよ。
団体受験という特殊な事情もあって、TOEIC IP の個人成績表(スコアレポート)には顔写真を表示する欄(スペース)がないんだ。
就職活動などの目的で TOEIC 公開テストを受けた時は、自分で用意した証明写真が Official Score Certificate(公式スコア認定証)に表示されていたよね。
でも、IP TEST のレポートは氏名や社員番号などの文字情報だけだ。
これは、試験を管理、運営する IIBC の立場からすれば当然のことでもある。
だって、用事もないのによけいな個人情報を管理したくはないもんね。
団体受験なんだから、極端な話、社員番号だって用をなすんだ。
TOEIC IP テストでは過去に出された問題が使われている|理由その③
TOEIC IP テストでは過去に出された問題が使われている。
「だからといってスコアが出やすい」ということはない、とテストを管理・運営する IIBC は公式見解を出してはいる。
だけど、TOEIC IP の仕組みに詳しい担当者が転職希望先の窓口だと、そのことを知っているから「公開テストの結果をください」とあらためて要請してくるかも知れない。
そもそも、転職希望先の窓口をしているのは「人事部」とか「人材開発部」の方々だから、TOEIC IP の仕組み自体に詳しい可能性が高い。
そして、TOEIC の公開テストはかなりの「水もの」だから、TOEIC IP テストに近い点数が出るとも限らないんだ。
公開テストの会場はたいてい広いし、暑いし寒いしでおそらく社内で受ける TOEIC IP テストより環境が厳しい。
「今回こそ自己ベストを取るんだ!」という意気込みは、ときに邪魔になることもある。
そんな「どたん場」で受けた公開テストのスコアが TOEIC IP を上回るなら、ハッピーだけどね。
TOEIC IP のスコアを履歴書に書いても良いのか?|まとめ


ここまでの内容をおさらいしておこうか。


神高さん、勝手に勘違いしているみたいだから言っておきますけど、本当に友達の話なんです。
大学時代の後輩から、前の派遣先で受けさせてもらった TOEIC のスコアを次の勤務先でアピールしたいとの相談で……。
ああ、そういうことね。
それなら、別に遠慮なく TOEIC IP テストの結果を活用させてもらえばいいよ。
TOEIC IP テストには、IELTS(アイエルツ)なんかと違い「有効期限2年」なんて縛りがないし、英語力が採用・不採用を分けるほどの職種じゃないなら、TOEIC IP の結果でも十分だ。
「提出先に事前に確認を」と IIBC は助言しているけど、求めている仕事の内容と「残された時間」次第だよ。
なんでも馬鹿正直に進めなきゃいけない理由はない。
TOEIC の公開テストは結構、費用がかかるし、結果が出るまで1ヶ月近くかかる。
申し込みから数えたら、2か月以上経たないと結果が出ない。
せっかく、自分に合っている、と思える仕事で募集が見つかっているのなら、すぐに動こう。
TOEIC IP テストのスコアが有効かどうか、なんて心配は後回しにして、まずはその職種に応募してみるべきじゃないかな。
2か月後には、そのポジションが埋まってるかも知れないんだからね。
田中さんのお友達には、そう伝えてあげてくれるかい?


部署が違うとはいえ、田中さんが転職を検討しているんじゃなくて良かったよ。彼女、なかなか見どころがあるしね。