こんにちは。
とあるメーカーで海外営業に携わって20年超の神高(かんだか)です。
TOEIC のベストは935点、加齢(特に視力の衰え)により記録更新できずにいます(笑)。
入社6年目、設計部の田中さんから TOEIC(トーイック、トエック)、特にリーディングセクションのコツを教えて欲しい、との質問がありました。
カンダカさん、TOEIC のリーディングセクションのコツって何でしょう?
毎回、時間切れになっちゃって、最後は同じ答えを塗ることになります。
75分(1時間15分)のリーディングセクションで時間が余らせるのは、ほぼ無理だね。最近は特に出題側の意地が悪い(笑)。
今、スコアはどれくらい?
社内で受けた TOEIC IP で560点です。
(以降、神高(かんだか))
普段、仕事で英語を使ってないのに 560点なら、これから楽しみだね。
TOEIC(トエック、トーイック)のリーディングセクションにコツがあるとすれば、やっぱり「時間泥棒への対策」だろう。
「時間泥棒」とは、ズバリ、以下の二つだ。
- Part 5 の語彙(ごい=ボキャブラリー)問題
- Part 6 の長文穴埋め
長年、TOEIC を受けてきたし、過去の大きなリニューアル(2回)も経験してきたから、現在の TOEIC Listening & Reading の厳しさはわかっているつもりだ。
900点前後のスコアは取れるけれど、それでも最新の問題構成だと見直しする時間はほぼ無い。
しかも、上の二つの「時間泥棒」を意識した上で、だからね。
「試験問題全体」の構成に従って解いていけば、まず間違いなく、リソース(資源)を使い果たして大きく時間切れを起こしてしまう。
TOEIC を運営する IIBC のサイトを使って、一緒に確認してみよう。
TOEIC(トーイック)リーディングのコツ|時間泥棒に貴重なリソースを奪われてませんか?
TOEIC を日本で運営する IIBC のサイトでは TOEIC 全体の構成が紹介されている。
実際の試験に出されそうな例題が並んでいるだろう?
まずは、7つあるパートの問題数と出題パターンを頭の中でイメージできるようにしてほしい。
リーディングセクションは、以下の3パートで構成されている。
- Part 5:短文穴埋め問題 30問
- Part 6:長文穴埋め問題 16問
- Part 7(前半)1つの文書問題:29問
- Part 7(後半)複数の文書問題:25問
このうち、 Part 5 の語彙問題(ボキャブラリーを問う出題)とPart 6 全般は「時間泥棒」だ。
盗賊が待ち構えている、と意識しておかないと、最後のエリアを全部同じ答えでマークする羽目になるんだ。
Part 5 の語彙問題(ボキャブラリーを問う出題)|時間泥棒 A
TOEIC の問題構成は、パートごとにある程度のパターンが決まっている。
パート5の短文穴埋めであれば、極論すれば以下の3種類しかない。
- 品詞(名詞、副詞など)がわかっているか
- 文法(過去形、未来形など)がわかっているか
- 語彙(単語の意味)がわかっているか
このうち、語彙問題は多くの場合、文章全体の意味を理解しないと解けないようにできている。
IIBC 公式サイトのサンプル問題 No. 105 を見てみよう。
「・・・で販売されている衣服はすべて天然素材、○○染料は含まれていません」
の○○に何が入るでしょう?
という質問で「合成染料」を表す「 synthetic 」を選ぶには、文章全体の意味を分かってないと選べないようにできている。
この問題に限っては、 dye とのコロケーション(語のつながり)で決断してしまう、という技もあるけどね
この問題 No. 105 の場合、synthetic の意味が分からない、あるいは他の3つが dye に使えない、と自信が持てないなら、あきらめてマークしてしまうのがベストな選択だ。
試験中にウンウン考えても、わからんものはわからんからね。
Part 5 の文法問題・品詞問題|時間泥棒じゃない問題たち
次に、Part 5 の他の出題例をながめてみてほしい。
いずれも選択肢 ABCD は「文法上の仲間」あるいは「語尾の変化」だけで構成されているのがわかるよね。
つまり「He is が They is だと成立しない」といったルールだけで判断できるケースが「品詞」「文法」問題ではほとんどなんだ。
たとえ He ( is ) の後に a psychiatrist (精神科医)なんて、わけのわからない単語が来ていてもカッコの中は正解を選べる。
文章の意味はわからなくても得点できる、というわけなんだ。
実際、TOEIC 900点、英検1級のぼくだって、問題文、選択肢とも知らない単語はいくつも出てくる。
だから、TOEIC 対策を仕事にしている人ならいざ知らず、働きながら英語を勉強しているほとんどの受験生は、文章の意味がつかめないからといって後ろめたく思ったり、あせったりする必要はないんだよ。
Part 6 の長文穴埋め問題全般|時間泥棒 B
Part 6 の長文穴埋め問題。
これは、曲者(くせもの)だ。
時間泥棒の主犯格と言っていい。
というのも、試験開始から1時間以上が経過して疲れたところに登場する「文章を読ませようとする出題形式」だからだ。
Part 5 と同様の「文法問題」は、サラッとクールに解くべきだよ。
Part 6 も文法を問う問題は、あくまで「文意(文章のつながり)」よりも「文法(形、ルール)」重視だからね。
でも、[1][2][3][4]のどこに入るでしょう?的な、「適切な文章」を入れる問題に時間を奪われてはいけない。
TOEIC の場合、完走しないと満足なスコアにつながらない構成となっている。
最後の10問、20問を全部 B や C でマーク(塗り絵)するのは非常にもったいない。
でも「Part 6 の長文穴埋め問題」は、それを「無意識」に邪魔してくるんだ。
サンプル問題 No. 131-134 を見て欲しい。
Part 5 の品詞問題、文法問題とよく似た「文章を読み込まなくても正解できる問題( No. 131、132)」がある一方で、前後のつながりを理解した上で「接続詞( No. 133)」「文章( No. 134)」を選ばせる問題があるよね。
これらの「接続詞」「文章」を選ばせる問題は、明らかに受験者の時間を奪う。
もちろん、元の文章がスラスラっと頭に入ってくるなら、全問正解を目指して挑戦するべきだと思うよ。
でも、文章が長くて難解で、2回も3回も読まないと頭に入ってこないのであれば、思い切って後回しにする(文法・品詞以外は適当な記号でマークして次に進む)のも、合理的な頭脳プレーとなる。
というのも、リーディングの最終版、ダブルパッセージ(文章が二つ)トリプルパッセージ(文章が三つ)と呼ばれるエリアにも、問題文をほとんど読まずに正解できる問題が混ざっているからなんだ。
田中さんみたいにマジメな人ほど、試験問題を飛ばすことに変な罪悪感を持ってしまうかも知れないけれど、そこは公式問題集などを活用しながら、体感してみるといい。
Part 6 のトリッキーさ(意地の悪さ)がよくわかると思うよ。
TOEIC(トーイック)リーディングのコツ|時間泥棒に貴重なリソースを奪われてませんか?|まとめ
ここまでの内容をまとめておこう。
試験の途中で、そんなにたくさんのこと、考えられません…
問題構成がシンプル、単語のレベルも出題パターンもある範囲に収まっている試験にしては手ごわい。
たしかに。
TOEIC は一つの英語の試験でありながら、途中でルールが変わるから自然と心理的な変化が生まれるようにできているんだよね。
リスニングは用意された音声に導かれて45分、頑張れば完走できる。
でも、リーディングは自分で75分を走り切らないといけない。
しかも、後半になるほど長い文章が並んでいる。
気持ちを打ち砕くには十分なビジュアル(見た目)がリーディングの後半に待ち受けている。
だから、
「ああ、もう無理だ。残り5分で20問なんて解けるわけない」
「全部 C で塗っちゃえ・・・」なんてことが起こる。
でも、実は見た目が怖い終盤の問題群の中にも「解ける問題」はあるんだ。
Part 7 の問題は、やっかいな奴が潜んでいるけど、それほどでもない敵もそれなりに出てくる。
公式問題集は試験本番を再現しているから、時間がある時にゆっくり解いてみると公開テストや社内で受ける TOEIC IP で役に立つ。
どうです、ゲームの攻略法みたいでしょ?
実際、就活中にこのゲーム性がハマって、大学や各種学校が学生をサポートするために繰り返し行う TOEIC IP でハイスコアを取る学生だっているくらいだからね。
まあ、我々のような社会人は使える時間が限られているから、日々のすきま時間をうまく使うなど、工夫が必要だろうね。