【検証】TOEIC IP とは?|公開テストを再利用した団体用プログラム(Institutional Program)【オンライン版もスタート】

TOEIC IP とは?|公開テストを再利用した団体用プログラム TOEIC IP 対策

こんにちは。

とあるメーカーで貿易実務に関わって20年超、TOEIC IP で935点がベストの神高(かんだか)です。

国内の営業を担当している同じフロアの高橋くんに質問を受けました。

高橋
高橋

この前、教えてもらった2種類の TOEIC ですけど、結局、IP ってどういう意味なんですか?

神高
神高

IP ってのは Institutional Program の略で「団体用プログラム」って意味なんだ。他ではあまり見ない略語だけどね。

(以下、神高)

TOEIC IP を意味ごと、単語ごとに分解してみようか。

  • TOEIC = トエック、トーイック、Test of English for International Communication
  • Institute = インスティチュート、組織、団体
  • Program = プログラム、予定、授業の要綱(カリキュラム)

とまあ、こんな意味と関係性だね。

IP という短縮形をこの意味で使うのは、TOEIC IP テスト以外ではあまり知らないけど、20年以上前からずっと過去問を使った団体テストは TOEIC IP と呼ばれている。

ちなみに、アメリカの大学に留学するときに使う TOEFL(トフル) にも同じような意味で用いられている ITP テストというものがある。

TOEFL ITP は「 Institutional Test Program 」の略で、過去問(すでに主催者側が持っている問題のストック)を使った本試験のこと。

ただ、海外へ留学しようと思ったら、今は多くの大学でパソコンを使って受験する「 TOEFL iBT( TOEFL Internet Based Testing )」が必須になっているから、ITP はあくまで練習、演習の位置づけだ。

その点、TOEIC IP テストの結果は公開テストのスコアと同じレベルだと広く認められていて、TOEIC を主催、運営している IIBC(社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)も同じ意味があると認めているんだ。

しかも、世間一般では「公開テスト」と「 IP TEST 」の違いは意識されてないから、TOEIC で何点、というときに「 IP ですけど……」なんて予防線は不要なんだよ。

就活に使ってもらおうと、いろいろな大学がキャンパス内で TOEIC IP を実施するしくみができているくらいなんだ。

ツイッター( Twitter )界隈の TOEIC スコアでマウント取ろうとする人とか、TOEIC のスコア自体を目標に頑張っている人( TOEIC を趣味として楽しめる人、もちろん良いことだよ)とかは IP TEST と公開テストは別物として扱うケースもあるけどね。

過去問を無料公開する英検と違い、TOEIC は過去問を出さないから、TOEIC IP が過去のストックから作られている、といっても、スコアにはほとんど違いは出ないんだけどね。

そうそう、高橋くんは興味ないかも知れないけど、2020年以降に実施される TOEIC IP について、新しい話題があるんだ。

高橋
高橋

ちょっと、神高さん。ぼくは国内向けの仕事がメインですけど、興味ないって決めつけないでくださいよ。

ああ、そうだったね。

先日、社内で行われる TOEIC IP テストに自主的に高橋くんは申し込んでいたくらいだもんね。

長年、TOEIC 公開テストの過去問を使ってきた TOEIC IP だけど、働き方改革やコロナウイルス問題などもあって、特定の場所に集まって試験を受ける、というスタイルも変わりそうだろう?

TOEIC を管轄する IIBC もその点はわかっていて、オンライン版の TOEIC IP を広めようとしているんだ。

【 TOEIC 直前対策】

TOEIC IP とは?|公開テストを再利用した団体用プログラム(Institutional Program)【オンライン版もスタート】

オンライン版の TOEIC IP は2020年4月から始まった制度で、まだまだ知名度がない。

また、TOEIC オンラインの勉強法は、マークシートとは違ってくるだろう。

とはいえ、新しいシステムだけに面白い特徴があって、それなりに普及しそうな気もするんだ。

ぼくなりの「 TOEIC IP オンライン」の6つの特徴を挙げておこう。

  1. 従来通り、990点満点でスコアが出される
  2. 従来通り、リスニング、リーディングとも495点満点で評価される
  3. 受験時間がおよそ1時間(従来の2時間の約半分)
  4. ペーパーテストではなく、オンライン(パソコン)で受ける
  5. IP テスト扱いなので、個人での申し込みはできない
  6. 受験料はペーパーテストの TOEIC IP と同じく4,230円(税込)

ぼくがなぜ「普及しそうだな」と考えているか、簡単に理由を解説していくよ。

従来通り、990点満点でスコアが出される|オンライン版 TOEIC IP の特徴①

「従来通り、990点満点でスコアが出される」

この特徴は、普及に向けて大きな力となるだろうね。

というのも、TOEIC を受けた人はみな、「TOEIC 990点満点」になじみがあるからだ。

1時間で終了するから500点満点で採点します、となると、おそらく普及しない。

現状維持バイアス、とでもいうのかな。

履歴書に TOEIC IP の点数を「特技・資格」として書くにしても、採用担当者が新しい点数の基準や目安を知らないと誤解するものね。

先に憶えたものは、いつまでも脳内を占拠してしまう。

スコア評価に新しい物差しが導入されていたら、前途は暗かっただろうね。

従来通り、リスニング、リーディングとも495点満点で評価される|オンライン版 TOEIC IP の特徴②

「従来通り、リスニング、リーディングとも495点満点で評価される」

この点も普及させる上で大きいだろう。

もともと、一人の人間の「リーディング」と「リスニング」の技能を同じスコアで評価することには無理があるのに、TOEIC はうまくバランスを取っている。

「リスニングの方がリーディングよりスコアが高いんです」

このセリフに、本来は意味なんて無いはずなんだ。

だって、TOEIC が決めた満点のうち、「何%正解したか」を正規分布で偏差値に変えて、スコア化しているだけだからね。

「Listening より Reading のスコアが高い」としても、本当は何の関連性もない。

だけど、そのおかげでゲーム感覚で楽しめる。

そして、日本人はたいてい、Listening の方がスコアが伸びやすい。

子供のころに英語を聴いていないからね。

その傾向が新しい TOEIC IP でも残るのであれば、今までの TOEIC の魅力は保たれると考えられる。

受験時間がおよそ1時間(従来の2時間の約半分)||オンライン版 TOEIC IP の特徴③

「受験時間がおよそ1時間(従来の2時間の約半分)」

これは、うれしいね。

歴戦の猛者、TOEICER(トエッカー)さんたちは寂しいかも知れないけど、ぼくは嬉しい。

TOEIC の公開テストを受けると、まじで一日つぶれる。

家族との時間を犠牲にしてまで受験するのが年々、辛くなってきていたところだから、従来のスコアとあまり差が出ないのであれば時間短縮は大歓迎だ。

ペーパーテストではなく、オンライン(パソコン)で受ける|オンライン版 TOEIC IP の特徴④

「ペーパーテストではなく、オンライン(パソコン)で受ける」

これは、便利な反面、英語運用能力の証明としての価値を落としかねない。

というのも、自宅のパソコンで受験するとなると、不正とか、電子辞書や自動化ツールの使用とか、いろいろな疑いがかかってしまうからだ。

とはいえ、TOEIC IP という名前で行う以上は「公開テスト」ではないよ、写真付きの証明書は出せないよ、という位置づけだから、まあいいのか。

ちなみに、ぼく個人は辞書があっても無くても、ほとんとスコアは変わらないと思ってる。

TOEIC はそんなことをしていたら時間が足りなくなって、逆に得点が下がる問題構成だからね。

IP テスト扱いなので、個人での申し込みはできない|オンライン版 TOEIC IP の特徴⑤

「IP テスト扱いなので、個人での申し込みはできない」

従来の TOEIC IP 同様、個人ではなく、法人、団体などまとめての申し込みが必須となっている。

これはおそらく、問題の漏洩とか、不正コピーとかを避けるための措置だろう。

過去に膨大な数の蓄積(ストック)があるとはいえ、デジタルデータとして盗まれてしまったら、それらの問題は使えなくなってしまう。

団体や法人であれば「不正行為があれば、次からお断りすることもあります」と言えるけれど、個人が相手ではそれもできない。

個人での申し込みができない、というのは、つまりそういうことだろう。

受験料はペーパーテストの IP と同じく4,230円(税込)|オンライン版 TOEIC IP の特徴⑥

「受験料はペーパーテストの IP と同じく4,230円(税込)」

公開テストよりは安価だけれど、オンライン版なのだからもう少しコストが下がらないのかな、とも思う。

印刷物があるなら、同じコストもわかるのだけれど、すべてがデジタルデータだからね。

VOD(ビデオオンデマンド)のサブスクリプション(定額課金)モデルからもわかるとおり、最初は無料にする、あるいは低額のお試しでローンチ(市場に投入)すると一気に普及する。

スコアの相関性に関するデータを集めなければならないから、過去に TOEIC IP を実施してくれた団体や法人に特別価格を提示したり、無料モニターを提供したりはあると思う。

ただ、もう少し大々的に募集~実施しても良いのではないかな。

従来型の TOEIC スコアと近い数字が出る、とわかれば、一気に信頼性は担保されるのだから。

TOEIC IP とは?|公開テストを再利用した団体用プログラム(Institutional Program)|まとめ

ここまでの内容を目次にしてまとめておこう。

ぼくが子供のころ、体温計には水銀かそれに近い液体が使われていてね。

計測するのに何分もかかっていたんだ。

でも、今は耳やおでこから出てくる赤外線で一発になっているよね?

TOEIC に関しても、徐々にそうなっていくんじゃないかと思うんだ。

ぼくが44歳にしてようやく合格した英検1級は TOEIC より試験時間が長いけど、それでも筆記が100分、リスニングが約35分の合計約135分だよ。

準1級なら、筆記が90分、リスニング約30分の合計2時間。

つまり、TOEIC は英検準1級なみの拘束時間を受験者全員に強いているわけだけど、そこまでしないと「仕事で英語を使えるかどうか」の大まかな判断ができんわけもなかろう、と思うわけさ。

IELTS(アイエルツ)や TOEFL(トフル)みたいに人生をかけた留学の合否がかかっている、というなら話は別だけどね。

社会人(会社員)の TOEIC 勉強法、というものは、これから変化していくんじゃないかな。

高橋
高橋

じゃあ、神高(かんだか)さんは「仕事で英語が使える」レベルってどれくらいだと考えてるんですか?

ぼく自身は、メーカーなどで専門分野を持ちながら仕事を頑張っている人なら「TOEIC 630点」あれば仕事で使えると考えている。

「英語」x「何か」の「何か」はなんだっていい。

「営業」でも「設計」でも「品管」でも「会計」でも……。

高橋くんには、近いうちにその理由と勉強方法・対策について伝えたいと考えているから、ちょっと時間をちょうだい。

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